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〜月齢14〜

 昨夜の帰還は慌ただしく、顔を見ることが出来なかった。
 安否の確認は出来てホッとしたが、傍にいるのに会えないもどかしさをリディアは味わった。
 早く会いたいのが本音であったが、
 この件に関する報告や対策、滞っていた仕事が急速に再開された為に、
 女王の立場上、外せない会議などに時間を取られた。
 結局、会う事が出来るのは夕食が終わった後、夜になってしまった。
 リディアは、見舞いであるにもかかわらず、服装を整えた。
 妙に緊張して、まるで初めてのデートのような面持ちである。
 それもその筈、恋を自覚してから初めて会うのだ。
 16、17歳の少女に戻ったかのような初々しさがそこにはあった。

 アーウィングの部屋はそれほど大きな部屋ではない。
 特に寝室は、書斎の方に場所を大きくとられていて、王族のものにしては狭い造りになっている。
 やはり続きの間が設けてあって、そこにシレネが控えていた。
「リディア様」
「アーウィングは…」
「少し傷が痛むとは言ってらっしゃいましたが、
熱の方は緩和されて大丈夫みたいです。
きっと、お見舞い、大変お喜びになられると思います。
私は、今夜もここで控えておりますので、何かあっても看てますのでご安心を…」
 シレネは、昨夜もこうしてアーウィングに付いていたようである。
 ほんのりと目の下に隈ができている。
 一晩中起きていたのだろう、本人は悟られないように振る舞っているが、疲れているはずだ。
「今夜は…私が付いているから下がってくれて良いわ」
「しかし…」
「傍にいたいの…」
 リディアの切なげな瞳に、気持ちを察したシレネは、アーウィングの事を頼んで下がった。
 リディアは正面右の扉を開け、部屋の奥に入っていった。

 部屋は仮の寝室なのでそう大きくなく、内装もいたって質素なものだ。
 ただ、そこに広がるラベンダーのほのかな香りが落ち着きを与えている。
 ベッドに横たわるアーウィングの姿を見たリディアは、その痛々しさと、再び会えた喜びに涙が溢れた。
「…よかった。もう私の所には帰ってきてくれないんじゃないかって、
ずっと、不安だった。帰ってきてくれて…本当によかった…」
 アーウィングの心に温かい灯が点った。
 身体の痛みも忘れるくらい、心が愛しさで一杯になった。
「僕も…会いたかった。すごく、嬉しいよ…」
 ベッドの上に起き上がる。薄いローブを羽織っているだけの姿、身体には包帯。
 それでも、リディアの目には凛々しく映った。
 出掛ける時に気付いた通り、その身体は少年から大人の男性へと変化を遂げようとしている。
「ねぇ…キスがしたいわ」
「えっ…?」
 リディアはアーウィングに自ら口付けた。甘い感覚が二人を包む。
「…私、気が付いたの。貴方の存在が私にとってどんなに大切か…。
本当は、もっと前に気付くべきだったの。でも、もう迷わない…」
「本当に?僕を…愛してると…?」
 リディアは恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに頷いた。
「貴方が私に光をくれるのよ?幸せをくれるんでしょう?」
「そうだよ、君を幸せにするのは僕だ…そう、ずっと心に決めてた」
「愛してるわ…その瞳も、髪も…」
 首に腕を回し、抱きついた。愛しさを噛み締めながら、アーウィングもそっとその背中に腕を回す。
「声も、指も…」
 抱擁から今度は、肩を抱くように身を寄せた。
 寄り添って、手を、指を絡める。
 黄金のリングがアーウィングの指でキラキラと光る。
「ずっと傍にいて…私の傍に…」
「一緒だよ。ずっと、傍にいる。もう離せない」
 顔を見合わせ微笑む。二人とも、お互いの笑顔が一番好きな顔だった。
 そして、どちらからというまでもなく、ごく自然に二人は唇を重ねた。
「…私を貴方のものにして。私の全てを知って欲しいの…」
 リディアは、その想いを素直に伝えた。
「…いいの?触れても…」
 頷くリディアに手を伸ばす。

「ずっと、こうして君に触れたかった…」

 互いの体温を感じる。触れた肌が熱を持つ。指を絡め、何度も唇を合わせた。
「…お帰りなさい」
 愛しい人、見上げたすぐ目の前にその顔がある。
 少年のような純粋な瞳。ずっと見つめていたい。彼女は思う。
「…ただいま」
 愛しい人、今、この腕の中にいる。
 柔らかで華奢な身体、優しく守るように抱きしめていたい。彼は思う。

 二人に身を分けて生まれてきたのには意味がある。
 だからこそ、こうして一つになる事で幸せを感じるのだろう。
 そして、そこには絆が生まれる。愛しさの証になる。
 目覚めると、隣に温もりを感じた。見慣れた背中、いつもとは違って見える。
「おはよう、アーウィング…」
 その声に反応してか、寝返りを打つ。その顔が見えた。
 どうやら起きてはいない。スヤスヤと寝息を立てている。
 子供のように安らかな寝顔に、リディアから笑みが零れた。
 その胸に愛しさが込み上げてくる。
 リディアは子供の頃、よく乳母に子守唄を歌ってもらっていた。
 クレツェントに伝わる子守唄だ。その歌を囁くように優しく歌う。
「…ん」
 すると、途中でアーウィングが起きてしまった。
「起こしてしまうなんて、逆効果だったみたい…」
「あんまり小鳥が可愛く囀るものだから…気になって起きちゃったよ?」
 アーウィングが笑い掛ける。リディアは頬を染めながら、
「起きていたの?」
 と、すねるように言う。
「その歌、良い歌だね?」
「そうかしら?この国に伝わる子守唄なのよ」
 子守唄と聞いて、アーウィングはハッとする。
「僕…子供なの?」
「そんなこと…ふふっ、秘密よ」
「…別に良いけど。それより、僕にも教えてよ…その子守唄」
 機嫌を直したのか、何やら嬉しそうに尋ねてくる。
「いいわ。でも、どうして…?」
「だって…いつか、僕の子供にも教えてあげたいじゃない?」
 リディアの顔は真っ赤になった。
「…気が、早過ぎよ…もうっ」

 月が満ちるように、私の心も愛で満ちた。
 貴方の愛に守られていたから。
 月は不実だと誰かは言う。形を変えて、人によって違う顔を見せるから。
 だけど、私の想いは欠けたりしない。
 黄金色の輝きが私を包み、同じ光を貴方に捧げていくの…。

 それから後に、アーウィングは本当の怪我の理由をリディアに告げた。
 リディアは驚かなかった。そして、その為に魔族の悪いウワサを流した事も素直に受け入れた。
 だが、魔族に対する認識を少し改めて欲しいとアーウィングに言った。
 姉・ライラの事件の真相を話し、アーウィングもまた、彼女に直接会って話がしたいと言い出した。
 それは、いずれ実現する事になる。

 太陽と月、どちらが欠けてもこの世界は成り立たない。
 月は太陽の光を浴びてこそ輝く。
 二つが重なる時、黄金のリングが生まれる。
 そして、世界は太陽と月の光を受けて回り、巡るのだ。

 君に愛を、君に光を、幸せは僕と共にある。

アーちゃんLOVE!
はい、この話でようやくリディアとアーウィングは結ばれる訳ですが、
この話の何に一番萌えたか、正解はアーちゃんの瑞々しい身体★
素肌に包帯、それが薄いローブを羽織ってるだけだから透けて見えるんですよ!
未完成の身体って本当にセクシーだと思うのは僕だけでしょうか?
「黄金の月」はFA●ATIC◇●RISISの歌のタイトルです。
こういう世界ってプラチナの指輪じゃないでしょ?
銀だとチャチなイメージがあって、結婚指輪は金にしようと。
指輪だけが二人を繋いでる関係というのを象徴しつつ、
結ばれるまでの心の揺れを月の満ち欠けであらわしています。

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